観光立国に向けて-瀬戸内海クルージング構想の提案
今後、日本が観光立国に向かうことは理にかなっている。はたして、国はどのような方針をもって観光立国を推進しようとしているのか。まずは、この点を見てみたい。
平成22年度の観光白書では、平成22 年以降の訪日外国人旅行者について、平成25 年の1,500 万人、将来的には3,000万人といった新たな目標を設定し、これに向けて、「訪日外国人3,000 万人プログラム」を設定している。
特に、平成22 年度からは「尽きることのない感動に出会える国、日本」という意味を込めた「Japan. Endless Discovery.」という新たなキャッチフレーズ・ロゴを導入して、観光立国を推進しようとしている。

1、国際競争力の高い魅力ある観光地の形成
2、観光資源の活用による地域の特性を生かした魅力ある観光地の形成
① 文化財に関する観光資源の保護、育成及び開発
文化財等の保存・活用及びナショナルトラスト運動の推進を図る。
②優れた自然の風景地に関する観光資源の保護、育成及び開発
自然保護思想の普及、国立・国定公園の保護と利用、世界自然遺産地域の適正な保全管理等を進める。
③温泉その他文化、産業等に関する観光資源の保護、育成及び開発
3、観光旅行者の来訪の促進に必要な交通施設の総合的な整備
国の白書だからあたりまえだが、なんとも味気ない方策である。国際観光地とは何なのか。まず、このことを十分考えていただきたい。「世界スケールの観光地」である。すなわち、規模が大きく、世界に他に類がない内容を有してそこに存在するということが必要である。旅行者へのサービスは、その後考えればいい。まずは、すばらしい観光地であるというコンセプトと内容である。このことを念頭において考えて提案するのが、瀬戸内海クルージング構想である。
瀬戸内海クルージング構想
何も真新しくないと思われるかもしれない。船会社が既に瀬戸内海クルージングというキャッチフレーズで舟の運行をしているではないかといわれるであろう。そうではない。瀬戸内海の観光地を海から見直そう。そうすれば、瀬戸内海の観光地はコンセプトとして一つにつながり、スケールの大きな魅力的な観光地になるという提案なのだ。世界に通じるスケールをもつではないかというのが、クルージング構想の真意である。
瀬戸内海は、東西に450km、南北に15 - 55km、平均水深:約31m、最大水深:約200m(豊予海峡および鳴門海峡)の内海で、大小合わせて3,000もの島嶼群で構成され、豊かな生態系をもつことで知られている。1934年には日本初の国立公園として雲仙、霧島とともに国立公園に指定され、「瀬戸内海国立公園」となった。陸域・海域を含めると、日本で一番大きな国立公園である。
瀬戸内海は、シーボルトを初めとして数多くの欧米人から高く評価された景勝地であり、明治維新直後に瀬戸内海を訪れたシルクロードの命名者でもあるドイツ人の地理学者フェルディナンド・フォン・リヒトホーフェン(Ferdinand Freiherr von Richthofen、1833年 - 1905年)の旅行記により風光明媚な風景として世界中に紹介された。来日した欧米の外交官や宣教師などが一様に賛美したのは、緑濃い自然と、自然に溶け込んで一体となった人の暮らしがつくる風景の美しさであった。船が進むにつれ、島陰から次々に島が現れ新しい風景が開ける瀬戸内海は、景勝地としての世界的な評価を得た。産業化が進んでかつての美しい景色は衰えたかの感があるが、「東洋のエーゲ海」などといわれるくらい独特の景観を誇っている。
神戸の六甲山、小豆島の寒霞渓、香川県の屋島、岡山県の鷲羽山、広島県の鞆の浦・沼隈町周辺の備讃瀬戸、広島県の宮島と厳島神社、広島県三原の筆影山、愛媛県の来島海峡、徳島県の鳴門などの数多くの名の知られた名所だけでなく、岡山県白石島のように島に住む外国人が発信した情報で世界に知られ、多くの外国人が88ミニ寺院(地蔵)まわりをして、人間らしさを見つめなおしている隠れた観光地もある。一つ一つを数え上げたらきりがないであろう。
語りつくせないほどの観光地が詰まっていることが、国際観光地としての条件である。多様なニーズに答えて、どんなに頑張っても見尽くせないということが国際観光地としての条件である。スケールが大きいとはこういうことである。
残念ながら、産業化、都市化の波の中で、瀬戸内海の自然は昔ほど優美ではない。しかし、修復に努めれば十分息を吹き返すはずだ。残っているものだけが観光資源ではない。ハワイは、観光地にすべく木を植え替え自然を観光地にふさわしいように変えた。ベルギーのブルージュは、昔からの町並みが残っていると宣伝したが、その実は昔風に再現した。観光地は魅力があるように造りかえればいいのだ。
『瀬戸内の人々は海に抱かれて生きてきた。アプローチは海から』こんなコンセプトで、観光地造りを進めたらいかがだろうか。そして、それぞれの観光地が切磋琢磨して魅力作りに努めたらいいのではないか。いろいろ知恵が湧いてこないだろうか。関係者に期待する。
鷲羽山からの夕焼け
瀬戸大橋の遠景
鞆の浦港と仙酔島
« 福島原発事故以降の原子力・放射能防御技術の開発 | トップページ | TPPを考える-メリットがなく、デメリットばかりである。 »
「地方・農業・環境・福祉」カテゴリの記事
- 東アジア新時代をにらむ国際自由都市の提案(北海道北部、九州北部、九州西部、沖縄)(2012.02.07)
- ありがとう消防団員の皆様-消防団活動と報酬(2012.05.18)
- 田舎の本音(高く売れるのならば、農地は売る)(2012.04.28)
- 「年金バイアウト」という選択肢(2012.04.20)
- 外国人看護士試験検討会「英語・母国語採用に否定的」ー人材を入れるつもりはあるのか!(2012.03.21)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/515591/52878948
この記事へのトラックバック一覧です: 観光立国に向けて-瀬戸内海クルージング構想の提案:
« 福島原発事故以降の原子力・放射能防御技術の開発 | トップページ | TPPを考える-メリットがなく、デメリットばかりである。 »






コメント