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2016年9月 3日 (土)

北方領土解決への道-「共同経済圏」の確立

安倍首相は、2016年9月2日ウラジオストクにてプーチン大統領と日ロ首脳会談を行い、平和条約について、プーチン大統領と2人だけでかなり突っ込んだ議論をしたようだ。安倍首相は、「70年続いた異常な事態に終止符を打ち、次の70年の日露新時代を共に切り開こう」という意気込みのもとに、エネルギー開発や港湾整備など8項目の協力計画を提案し、非常にいい感触を得たとされている。素晴らしい前進である。
今回の提案は、今年5月にロシア南部ソチでプーチン氏と会談した際に一致した北方領土問題に関する『新しいアプローチ』に基づくもので、交渉を具体的に進めていく道筋が見えてきたといえる。
 
今回の会談の成功を受けて、両首脳は次回首脳会談を11月にペルーで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に行い、12月15日には安倍総理大臣の地元・山口県長門市で改めて会談することで合意したことも明らかにした。
 
安倍晋三首相は翌3日には、ウラジオストクで開かれているロシア政府主催の「東方経済フォーラム」の全体会合で演説し、日露両国が合意している極東開発を中心とする経済協力を推進するため、年1回、ウラジオストクで定期的に首脳会談を開催することを提案した。また、原油や天然ガスを念頭に「エネルギー資源開発とその生産能力の拡充は双方を(互いに利益を得る)ウィンウィンにする最たるもの」とも述べ、エネルギー開発協力を重点的に進める考えも打ち出した。両国中小企業の協力や先端技術支援、人的交流にも言及した。また、ウラジオストクを経済拠点となる「ユーラシアと太平洋とを結ぶゲートウエー(玄関)」と位置づけた。
 
北方領土交渉は大きく前進すると思われるかもしれないが、交渉は始まったばかりに過ぎない。プーチン政権にとっては、経済面などで日本側から最大限の譲歩を引き出す狙いがあるとみられ、北方領土問題で妥協する姿勢は見せていない。難航すると考える方が自然である。
 
今回、会談前に政府筋から流れてきた情報として、北方領土の日本帰属が実現した場合、北方領土で暮らすロシア人の居住権を容認するという報道があった。この情報は、今後大きな影響をもつことになると思われる。毎日新聞は、次のように報道している。
 
政府は、ロシアとの交渉で北方領土が日本に帰属するとの合意が実現すれば、既に北方領土で暮らすロシア人の居住権を容認すると提案する方針を固めた。
北方四島には現在、約1万7000人のロシア人が居住し、主に水産業や水産加工業に従事している。政府はロシア人の退去や両国による共同統治は困難とみて、日本に帰属した場合でもロシア人の待遇を一定程度保障する必要があると判断した。政府内には、より幅広く権利を保障し、高度な自治を維持する考えもある。これまでも政府は領土問題解決時にロシア人の「人権や利益、希望」を尊重する方針を示してきたが、居住権の容認を明確に示すことで、具体的な返還時期や条件などの協議進展につなげる狙いがある。

一方、首相は5月の首脳会談で、島民だった日本人の望郷の思いについて語っている。日本政府内では、両国が帰属問題で合意する場合には、ロシア側に元島民らの居住権を認めるよう要求し、日本人の移住を可能にする案もある。元島民らは現在、墓参や交流などを目的とする一時滞在のみ認められている。返還後のロシア人の権利容認の前例とする狙いだが、ロシアの実効支配を追認することにもなりかねず、政府内で異論が出る可能性もある。

ただ、ロシア側が領土問題でどこまで譲歩するかは不透明で、居住権だけでなく、住民自治や行政機構のあり方など詰めるべき点は多岐にわたる。私有地の登記やロシア企業の資産の扱い、学校教育のあり方などの難題も多く、日本の思惑通りに協議が進むかは未知数だ。{毎日新聞2016/9/1}

今回の政府筋から流れてきたロシア人の居住権の容認は、国境紛争解決の重要なカギを握るものである。下記のブログで紹介した、パレスチナ和平に多大なる貢献をしているのが、「共同経済圏」とい理念である。

1994年にイスラエルがヨルダンとの平和条約締結後に提案した、国境を越えた「共同経済圏」である。その提案は「JGIP」(ヨルダン域内の合弁工業特区)として結実した。同特区はヨルダン川流域に広がる約14平方キロメートルの経済特区で、イスラエルとヨルダンの金融機関が共存する。JGIPはイスラエルの実業家らの支持が追い風となり、近年著しい成長を遂げている。2013年にはイスラエル政府が3400万ドルを投資、ヨルダン政府も資金面でのサポートを続ける。

日ロ経済協力は、この「共同経済圏」の構築という理念のもとに、日本ロシア両国民がともに居住する共存共生共栄の道を探ることが大切になると思われる。

共同経済圏[パレスチナの合弁工業特区〕2016/3/22
http://kiyapitolino.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/post-5d60.html

とはいえ、ロシア民族の思考には日本人には思いもよらない部分がある。時によっては平気で平和条約を破棄するという行動に出る。第二次世界大戦時のソ連の侵攻は、日本人の予想を超えたものであった。ロシア民族の気質についてよく研究し、今後の平和交渉に慎重に臨むことが欠かせない。かつて下記のブログで、ロシア人気質について記した。

19世紀半ばのロシア詩人チュッチェフのたびたび引用される有名な詩がある。

ロシアは頭では理解できぬ、
並みの尺度でははかれぬ。
ロシアだけの特別の姿がある―
ロシアはただ信じるのみ。

ロシア人自身がよく分からないというのだから、外国人に分かるはずがない。

ロシア的原理をまとめると、
1、行動が自然発生的で、あらかじめつくられた計画にしたがっていない。
2、理論や約束ごとにしばられず、現実の状況にしたがう。
3、その行動は単純で、目的に直行する。

頭の隅にしっかり叩き込んで、ロシアに惑わされないように交渉を進めてほしい。

 

「(ロシアを理解するために)ロシア人気質とロシア的原理(2012/8/8)」

http://kivitasu.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-fba1.html

 

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