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2017年1月

2017年1月 4日 (水)

中国人が見る現代日本の経済力と未来「日本だけが特例なのだ」と

中国メディアは、現代の日本経済をどのように見てどのように評価しているのだろうか。2017年新春の中国報道には、日本人が見落としている重要な視点が述べられている。外から見ると、日本の状況がはっきり見えるものである。そこに見られるのは、日本は衰退しているというのは間違いで、恐ろしい底力をもっているという評価である。私が印象深く感じたのは、「日本だけが特例なのだ。こうした状況にたえられるのはおそらく日本だけ」というコメントである。
 
現在の日本経済が抱える問題について「消費と投資への意欲が低いこと」、「労働市場で非正規雇用が増えていること」を挙げ、貧富の格差が拡大していることを指摘、「確かに現在の日本経済は好調というわけではない」(*1)と、日本経済に現在問題があることはあくまでも当然の前提として認識されている。
 
また、日本の債務残高は莫大な規模に達しているにも関わらず、日本国民には全く危機感がない。債務は、「未来のお金を前もって使用すること」であり、債務を返済できないという事態が常態化すれば信用収縮が出現し、結果として経済は崩壊する。なのになぜか、日本経済が債務に持ちこたえることができている。(*2)このことについて見解を述べている。
 
少子高齢化と経済の停滞、そして国の膨大な債務、この二つに日本ならではの方法で立ち向かっているとみているようだ。日本経済の特色として、この20年日本企業が進めてきた海外戦略がベースにある。
 
日本企業はグローバル化を通じて世界中で富を創造し、日本国内の需要が不足していても企業は海外で収益を得ることができると指摘。民間が健全な企業活動を行い、強固な経済基盤が存在することが莫大な政府債務残高を支えていると主張している。(*1)
90年代後期に「米国が仕掛けた金融爆弾」で痛手を負った日本は、それまでの爆発的な発展スタイルを捨て、こっそりと付加価値や技術力の低い経済活動を国外へと持ち運び、自らは空調コンプレッサーや各種素材、省エネ技術など核となる技術だけを掌握するようになったと説明。「過去の煌びやかなモデルを捨て、光の輪を他人に譲る一方で、核の部分は手元に残し、設計の精細化、素材の洗練化、管理の規範化を進めていった」と論じている。(*3)
日本企業の技術力は世界的に見ても非常に高い競争力を持っており、それはトムソン・ロイターが2015年に発表した「Top 100 グローバル・イノベーター」に日本から世界最多となる40社が選出されたことでも見て取れる。日本企業はすでに家電分野などにおいて最終製品から部品供給へと事業分野を変化させているとし、自動車やハイエンドスマホの多くの部品は日本企業の部品であると指摘している。(*1)
 
その結果、企業は海外に進出し、知財収入を主とする経営モデルを作り上げた。
 
日本の2015年度の経常収支は18兆円の黒字で、企業の海外子会社から受け取った配当金など第一次所得収支が20兆円にも上っている。大きいのは、知財収支の2.4兆円の黒字で、過去10年で5倍にも伸びている。自動車等輸送用機械製造業などで、日本の本社が車体の設計図や生産技術を海外子会社に貸すことで安定した特許や著作権の使用料を得ているのだ。(「エコノフォーカス・知財収入伸び盛り」〈日本経済新聞〉2016/12/26)
日本は世界最大の債権国であり、国外に莫大な純資産を保有しているため、近年は国外からの所得の純受取が増加傾向にあり、国内総生産(GDP)と国民総所得(GNI)の数値に乖離が生じている。日本企業は世界中で投資と買収を展開しており、日本経済は「国内総生産(GDP)」だけでなく、日本国外における経済活動も含めて評価する必要があると指摘。日本経済とは保守的で低効率な本土の経済と、先進的で競争力の高い国外の経済という2つによって成り立っていると主張し、こうした意味からすれば「実際の日本経済は多くの中国人が想像するほど悪くはないのが現状である」。(*1) 
 
一方、日本政府は、企業は投資をしたがらず消費者も消費をしたがらない状況下で、国債を発行して投資を行い、経済成長を促進しようとしていると指摘。(*2)その投資は、収益性の低いインフラ設備のために投じられているのではなく、むしろ社会保障のために使用されている。これは社会の総需要の創出につながるため、経済発展にも有利であると指摘。だからこそ日本は莫大な借金を抱えていても経済が崩壊しないのだと論じている。(*2)
このような日本経済のスタイルを恐ろしいとすると同時に、「より恐ろしいのは日本のオープンさ、勤勉さだという。(*3)社会が成熟するとともにモラルが高くなっているとみているようなのだ。高齢化社会の進展とともに飛躍的に高まっている社会保障費の増加に力を失いがちになりかねない状況であるが、外から見れば企業の底力と相まって、日本にしかできない高齢化時代の対応を着々と進めていると見ているようだ。
  • (*1) Searchina「日本経済は実は・・・中国人が想像するほど悪くはない=中国澎湃新聞 」(2017/1/4)  http://news.searchina.net/id/1626411?page=1
  • (*2) Searchina「莫大な政府債務残高がある日本、なぜ経済が崩壊しないのか=中国中億財経網」(2017/1/2)  http://news.searchina.net/id/1626299?page=1
  • (*3) Searchina「栄華を捨てて、本当に大事なものを残した・・・日本経済、そして日本人の恐ろしさ=中国メディア・今日頭条」(2017/1/3)  http://news.searchina.net/id/1626315?page=1

2017年1月 1日 (日)

【報道】日本製鋼材の強度不足でフランスの原発停止中!

原発大国フランスで、原発12基が、緊急点検のために停止させられるという異常事態になっている。蒸気発生器や圧力容器などの原発の最重要部品の鋼材の強度不足が発覚したためだ。フランスでは電気料金が上がり、電力会社の株価が急落する「大惨事」が起きている。日本ではこの件についてほとんど報道されていない。しかし、この問題は、今後世界を揺るがす問題に発展しかねない。次の二つの報道から問題を紹介したい。
 
●日刊SPA2016/12/30  https://nikkan-spa.jp/1262153
●「日本製鋼材の強度不足でフランスの原発停止中! 日本の原子力規制委は何をすべきか?」(まさのあつこ)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/masanoatsuko/20161116-00064483/
 
問題となった鋼材は、原子炉圧力容器の「上蓋」や、底の「下鏡(ボトム・ヘッド)」、または蒸気発生器の中に入っている「管板」、下部の「一次側鏡板(ボトム・ヘッド)」という部品である。その鋼材の品質が、フランスで原子炉を運転するための規制基準を満たしていないことが分かったのだ。フランスには58基の原子炉があるのだが、18基の原発で類似の問題があるとされ、うち深刻だと思われる12基の原発を停止するよう、ASNは命令。順次、原発を停止して徹底的な点検を行っている。
 
問題の鋼材は、フランスの「クルゾ・フォルジュ」社や日本の「日本鋳鍛鋼株式会社」が供給した鋼材にあるのだという。強度不足の部品を供給した企業の一つ「日本鋳鍛鋼」は、フランス原発12基に提供しているという。日本で再稼働した川内原発1号機、2号機など、日本でも17基の原発で日本鋳鍛鋼から供給された鋼材が使用されているそうだ。
 
日本の原発でも、強度不足の部品が使われている可能性があるのだが、原子力規制委員会は書面上のデータだけで「問題なし」としてしまっている。

「これはフランスのみならず、世界の原発業界全体を揺るがしかねない大問題です」。深刻な面持ちで語るのは、環境NGO「グリーンピース・ドイツ」で原発問題を担当する専門家ショーン・バーニー氏である。
 
「’95年から’06年にかけて日本鋳鍛鋼がフランスの原発に供給した鋼材には、基準値である0.22%を超える炭素が含まれており、特にトリカスタン原発1号機と3号機の蒸気発生器の鋼材は、0.39%という基準値の1.7倍もの高い濃度の炭素が含まれることが発覚した。一般的に炭素濃度が濃い鋼材は、壊れやすくなるのだという。大変なリスクを抱え込んだといえまいか。
 

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