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2022年9月

2022年9月 9日 (金)

ヨーロッパで起きている天然ガス供給危機の背後

 この投稿は、マスコミに載らない海外記事 モスクワでなく、ベルリンとブリュッセル発のヨーロッパのエネルギー・アルマゲドン: マスコミに載らない海外記事 (cocolog-nifty.com)の転載です。
記事原文はurl:https://journal-neo.org/2022/08/31/europe-s-energy-armageddon-from-berlin-and-brussels-not-moscow/
で、執筆者のF. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

 8月22日、ドイツのTHE(トレーディング・ハブ・ヨーロッパ)ガス・ハブ取引所で売買された天然ガスの市場価格は、一年前より1000%以上高かった。大半の国民が、原因は、ウクライナでのプーチンとロシアによる戦争だとショルツ政権から聞かされている。真実は全く違う。EU政治家連中と主要金融筋が、ドイツとブリュッセルが起こしたエネルギー危機を隠蔽するためにロシアを口実にしている。

 EU委員会やドイツやEU中の政府閣僚が慎重に隠しているのは、現在天然ガス価格がどのように決定されるかに関して、連中が作り出した転換だ。ほぼ20年間、JP Morgan Chaseのようなメガバンクや、大手の投機的ヘッジファンドに支援されるEU委員会は、現在の天然ガス市場の完全規制緩和のための基盤を作り始めたのだ。それは欧州連合の天然ガス市場「自由化」として推進された。それが今可能にしているのは、長期契約ではなく、価格を決めるための、規制されないリアルタイム自由市場取り引きだ。

 同じ強力な金融筋は、彼らが支配できる同様なグローバル化された先物「ペーパーガス」市場を作るため長年働いてきた。EU委員会と、連中の2050年までに経済を「脱炭素化」するグリーン・ディールという思惑は、石油やガスや石炭燃料を排除し、2021年以来、EUのガス価格の爆発的急上昇をもたらした理想的な罠になった。「単一」市場支配を作りだすため、グローバリストの権益のためのロビー活動を受けているEUは、EUでの様々なガス配送パイプライン・ネットワーク所有者ロシアに、競合するガスにも、それを開放するよう強いるため、ガスプロムに過酷な、事実上違法な規則変更を強制する圧力をかけた。

 EUの政策を支配する大銀行とブリュッセルのエネルギー既得権益は、彼らが支配しないロシア・パイプラインガスの長期的な安定した価格と並行する新たな独立価格体系を作り出した。 2019年までに、ロシアが依然遙かに最大のガス輸入源だったにもかかわらず、ブリュッセルEU委員会による一連の官僚的エネルギー指令で、完全に規制緩和したガス市場取り引きが、事実上、EUの天然ガス価格を設定するのを可能にした。

 ヨーロッパのガスの最大輸入比率は2021年にEU輸入の40%以上を供給するロシアのガスプロムからだ。そのガスは価格が今日のTTF投機価格より非常に安い長期パイプライン契約によるものだ。2021年、EU諸国は罰則的費用として、ガスプロムの石油価格スライド価格設定を継続していたよりも、天然ガスに約300億ドル多く費用がかかったと述べている。アメリカの産業と消費者はそうではない。EUでロシアのガス市場を破壊することによってのみ、金融既得権とグリーン・ディール擁護者は彼らのLNG市場支配を実現できたのだ。

(中略)

 長期の、低コストのパイプラインによるEUへのガス配送を組織的に制裁したり、閉鎖したりすることにより、中国での記録的干ばつや、ウクライナでの紛争かにかかわらず、ガス投機家は、オランダのTTPによって世界中の、あらゆる一時的中断やエネルギー・ショックにつけ込んで使って、アメリカの輸出制約や、あらゆる限度を超えて、EUの卸ガソリン価格に値付けするのが可能だった。8月中旬時点で、TTPの先物価格は一年前より1,000%高く、毎日上昇している。

詳しくは、転載元にアクセスしてください。

2022年9月 3日 (土)

岸田首相の目指す新しい資本主義は、共同体経済を基軸としなければ成功しない。

 岸田首相は、未来を切り開く「新しい資本主義」の実現を目指すと公約されている。新しい資本主義とは、成長により原資を稼ぎ出す(企業の収益増、歳入増)ことにより分配を可能にし、次の段階では分配により需要(投資、消費)を増加させ、次なる成長に向かうという理念である。

 成長戦略としては、①科学技術・イノベーション ②「デジタル田園都市国家構想」などによる地方活性化 ③カーボンニュートラルの実現 ④経済安全保障

 分配戦略としては、①所得向上につながる「賃上げ」 ②「人への投資」の抜本強化 ③未来を担う次世代の「中間層の維持」 

 このことを通じて、すべての人が生きがいを感じられる社会-①男女共同参画・女性の活躍 ②孤独・孤立対策 ③少子化対策・こども政策 ④消費者保護-を実現する。

 どの項目も現在日本が抱えている課題であり、もっともな内容である。しかし、今までと何が違うのかと問えば、現在行っている政策を「新しい資本主義」としてひとくくりにしただけに過ぎないのではないだろうか。
 新しい資本主義のグランドデザイン<閣議決定(令和4年6月7日)> を見ると、まさに国の政策を「新しい資本主義」という言葉でまとめたとしか理解できない。
デジタル田園都市国家構想基本方針<閣議決定(令和4年6月7日)>を見ても同じである。各分野ごとに丁寧に方針が示されてはいるが、美辞麗句を並べているだけで、今までと何も変わらないのではないか。計画に沿って、補助金による事業が数多く実施されるであろうが、波及効果には首をかしげざるを得ない。国家の現在の課題をこう突破するんだというポイントが見えてこないのだ。

 岸田首相の頭には、1960年池田勇人首相が行った所得倍増計画(翌1961年からの10年間に実質国民総生産を26兆円にまで倍増させることを目標に掲げた。日本経済は計画以上の年平均10%という驚異的な成長をし、高度経済成長と )という長期経済政策が念頭にあることは確かだろう。岸田首相の構想には賛同する。
 しかし、所得倍増計画において下村治氏が示したような基軸がない。下村治氏は、日本の民間企業(特に中小企業)の投資意欲が強いことに目を向け、民間企業の活力を国家の発展につなげるというケインズ政策の生産面での応用(乗数効果)を考案した。このことがポイントであった。そしてこの計画をもとに、中小企業への低利融資と高速道路などのインフラ整備(全国総合開発計画-1962年策定)を具体的な政策として実行した。<当初、太平洋ベルト地帯構想として打ち出したが、他の地域の批判を受けて、地域間の均衡ある発展を図るものとして策定された。>

 岸田首相が、どのように成長と分配によって国民生活の長期的な安定と成長を実現するのかはわからない。私は、日本と世界の様々な課題を整理して人類社会の持続ある発展をもたらすものとして、私論として「共同体経済学」を提唱している。共同体経済とは、人間の地域生活とともにある経済である。共同体という枠組みの中で、経済の成長と分配、そして国民の生活の三つを総合的に捉えることによってはじめて現代の問題は整理でき、持続的な発展軌道に乗ることができると考えている。この視点を取り入れることがポイントになるのではないだろうか。(拙者の理論は、「共同体経済学序説」としてまとめてはいるが、未発表である。)

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