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2022年9月 3日 (土)

岸田首相の目指す新しい資本主義は、共同体経済を基軸としなければ成功しない。

 岸田首相は、未来を切り開く「新しい資本主義」の実現を目指すと公約されている。新しい資本主義とは、成長により原資を稼ぎ出す(企業の収益増、歳入増)ことにより分配を可能にし、次の段階では分配により需要(投資、消費)を増加させ、次なる成長に向かうという理念である。

 成長戦略としては、①科学技術・イノベーション ②「デジタル田園都市国家構想」などによる地方活性化 ③カーボンニュートラルの実現 ④経済安全保障

 分配戦略としては、①所得向上につながる「賃上げ」 ②「人への投資」の抜本強化 ③未来を担う次世代の「中間層の維持」 

 このことを通じて、すべての人が生きがいを感じられる社会-①男女共同参画・女性の活躍 ②孤独・孤立対策 ③少子化対策・こども政策 ④消費者保護-を実現する。

 どの項目も現在日本が抱えている課題であり、もっともな内容である。しかし、今までと何が違うのかと問えば、現在行っている政策を「新しい資本主義」としてひとくくりにしただけに過ぎないのではないだろうか。
 新しい資本主義のグランドデザイン<閣議決定(令和4年6月7日)> を見ると、まさに国の政策を「新しい資本主義」という言葉でまとめたとしか理解できない。
デジタル田園都市国家構想基本方針<閣議決定(令和4年6月7日)>を見ても同じである。各分野ごとに丁寧に方針が示されてはいるが、美辞麗句を並べているだけで、今までと何も変わらないのではないか。計画に沿って、補助金による事業が数多く実施されるであろうが、波及効果には首をかしげざるを得ない。国家の現在の課題をこう突破するんだというポイントが見えてこないのだ。

 岸田首相の頭には、1960年池田勇人首相が行った所得倍増計画(翌1961年からの10年間に実質国民総生産を26兆円にまで倍増させることを目標に掲げた。日本経済は計画以上の年平均10%という驚異的な成長をし、高度経済成長と )という長期経済政策が念頭にあることは確かだろう。岸田首相の構想には賛同する。
 しかし、所得倍増計画において下村治氏が示したような基軸がない。下村治氏は、日本の民間企業(特に中小企業)の投資意欲が強いことに目を向け、民間企業の活力を国家の発展につなげるというケインズ政策の生産面での応用(乗数効果)を考案した。このことがポイントであった。そしてこの計画をもとに、中小企業への低利融資と高速道路などのインフラ整備(全国総合開発計画-1962年策定)を具体的な政策として実行した。<当初、太平洋ベルト地帯構想として打ち出したが、他の地域の批判を受けて、地域間の均衡ある発展を図るものとして策定された。>

 岸田首相が、どのように成長と分配によって国民生活の長期的な安定と成長を実現するのかはわからない。私は、日本と世界の様々な課題を整理して人類社会の持続ある発展をもたらすものとして、私論として「共同体経済学」を提唱している。共同体経済とは、人間の地域生活とともにある経済である。共同体という枠組みの中で、経済の成長と分配、そして国民の生活の三つを総合的に捉えることによってはじめて現代の問題は整理でき、持続的な発展軌道に乗ることができると考えている。この視点を取り入れることがポイントになるのではないだろうか。(拙者の理論は、「共同体経済学序説」としてまとめてはいるが、未発表である。)

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